勉強 study 2003 12 21
たまには、法律の勉強をしましょう。
一般の人に、わかりやすいのは、刑法でしょうか。
たとえば、刑法の教科書で見かける例を見てみましょう。
ある家に強盗が入ったとします。
そして、強盗犯は、その家に、若い女性が一人でいることに気付きます。
そこで、強盗犯は、その若い女性に襲いかかり、押し倒しました。
あわてた女性は、たまたま、手につかんだ花瓶で、強盗犯の頭を殴りました。
それが、致命傷となって、強盗犯は死亡しました。
この場合の女性の行為をどう見るか。
花瓶で、強盗犯の頭を殴り、強盗犯を殺していますので、
形式的には、殺人罪になります。
しかし、これは、犯罪にはなりません。
これが、皆さん、よくご存じの正当防衛です。
さて、正当防衛に似たものとして、過剰防衛があります。
わかりやすい例を挙げます。
悪い人が、あなたを殴りかかってきました。
しかし、あなたは、ケンカが強くて、相手を打ち負かしてしまいました。
そして、相手が無抵抗になったにもかかわらず、相手に反撃を続けました。
これは、過剰防衛です。「時間的過剰」というものです。
次の例を挙げましょう。
悪い人が、素手で、あなたを殴りかかってきました。
それに対し、ナイフを持っていた、あなたは、ナイフで反撃しました。
相手は素手で、あなたはナイフです。
これも、過剰防衛です。「手段の過剰」というものです。
注意してほしいのは、
過剰防衛は、正当防衛に似ていますが、過剰防衛は、犯罪です。
さて、ここまで読んで、ふと気になった人がいるでしょう。
そういう人は勘がいいのです。
自衛隊のイラクでの自衛行為をどう考えるかです。
正当防衛を超えて、過剰防衛にならないだろうか。
「手段の過剰」に該当しないだろうか。
やはり、刑法的な正当防衛で考えるのは、無理があります。
自衛隊が、不幸にして、イラクで、戦闘に巻き込まれてしまうと、
問題が起きるのです。
刑法的な考え方をするのではなくて、戦時法的な考え方をすべきです。
この方が、自衛隊の被害を少なくすることができます。
もちろん、憲法に問題がでてきます。
ですから、少なくとも、憲法改正についても議論すべきだったのです。
しかし、政府は、いつものとおり、「先送り」で、この問題を避けました。
それにしても、年金にしても、消費税にしても、
さらに憲法問題にしても、やっかいな問題については、
政府は、「先送り」が「お家芸」となってしまいました。
しかし、こんなに「先送り」ばかりしていると、
次の内閣は、宿題が多すぎて、誰がやっても、つらいでしょうね。
日本国憲法
第九条【戦争放棄、軍備及び交戦権の否認】
1
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、
国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、
国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2
前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。
国の交戦権は、これを認めない。